そんなことはよくある話
今回は「助ける勇気が出ない」あなたへ贈るメッセージです。
「勇気を少し出して前に一歩踏み出そう!」
何て言うつもりは一切ありません。
そもそも、そんな勇気を持った人に私の助言など必要ないのですから。
例えば、街中で道に迷ったおばあちゃんがいた時、あなたはその様子に気づいてしまいました。
周りは気づいているのかいないのか、誰も声をかけようとしないで通り過ぎるばかり。
そんな時、あなたは少しだけこう思います。
「困ってそうだから、声をかけてみようかな。」と。
でも、やっぱり勇気が持てずにその場を去ってしまいます。
そして、声をかけることができかった自分を少し責めるような気持になり、悲しくなったりします。
そんな自分を責めないでください。
嫌いにならないでください。
だって、それは誰しもが持っている心理的な効果が自分でも気づかない間に働いているのだから。
「そう!これは誰もが感じる普通の話なんです。」
集団になることで働く心理なのです
声をかける勇気が出なかったのはあなたのせいではなく、集団心理が働いているからです。
その中でも「傍観者効果」が働いています。
この効果は社会心理学の用語の一つとなっており、周りに人がいると自分の思ったことが行動しずらくなる心理です。
しかも、この効果は周りに人が多ければ多いほど強力になる厄介な心理です。
なので、おばあちゃんに声をかけれなかったのは「周りに人がいた」のが原因なのです。
ひょっとしたらその時、あなたとおばあちゃんだけだったら、あなたは声をかけれたかもしれないということです。
では、なぜこのようなことが起こるのか?
それは、さらに3つの要因に分けることができます。
- 周りが積極的に行動していないことで、緊急性がないと考えてしまう。(多元的無知)
- 周りと同じことをすることで責任や非難が分散されると考えてしまう。(責任分散)
- 自分だけ行動した場合に周りから非難されるのではないかと考えてしまう。(評価懸念)
この3つの考えがあなたの心理に働いているのです。
ウィキペディアでは以下のように書かれています。
傍観者効果 - Wikipedia 2023年7月16日 (日) 04:03 UTC
- 多元的無知 - 他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
- 責任分散 - 他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
- 評価懸念 - 行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる
どうですか?
これで、あまり自分を責める必要がないことに気づいたのではないでしょうか。
さらに、こんな実験がありました。
1996年に行った実験です。
実験者は心理学者のラタネとダーリーです。
これは、「誰もが気づいたからこそ、あえて誰も行動を起こさなかった」と考えて行った実験です。
学生を以下のグループに分けます。
- 2名のグループ
- 3名のグループ
- 6名のグループ
そして、そのグループで討論をさせます。
グループの中に一人協力者をいれて、その協力者に討論中わざと発作を起こす演技をしてもらいます。
その時、それぞれのグループが行動を起こすかどうかを調べました。
結果、2名のグループの時は行動を起こし、6名のグループの時は38%の人が行動を起こさなかったのです。
人が多いと行動が起こしずらくなることが明らかになった実験結果です。
だから落ち込まないで
もうこれで、完全に分かってもらえたのではないでしょうか。
そうです、「なかなか勇気が出ないのは、傍観者効果のせい」なんですよ!
こう思えば、あなたも気持ちも落ち着きを取り戻すことができます。
なにも、できなかったからって後悔する必要もありません。
そんな自分を受け入れてあげてください。
かなり大勢の人がいる中で行動できる人は「かなり勇気のある人」です。
そんな人は一握りしかいません。
なので、その行動した人をうらやむ気持ちが出てしまうかもしれません。
そして、非難してしまうことがあるかもしれません。
せめて、そんな気持ちになることだけは抑えてあげてください。
そうすれば、きっとあなたはこころ穏やかに過ごすことができるようなります。
この小さな気づきを大切に覚えておいてください。