相手の為はただのおせっかい
子供のことを思って、「ほら、勉強しなさい」とか、心配なので「これはしてはダメ!」など、「あなたの為にいっているのよ!」、なんて言ったりしている光景をよく見ます。
でもこれは、本当に子供の為ですか?
違いますよね、自分が理想とする子供になっていほしいと願う自分の為に言っています。
そんなこと言われても、子供にとっては理想の押し付けをされているだけで、困ってしまいます。
これは、ただのおせっかいです。
職場でも、上司が部下に仕事をお願いするときに、「この仕事を君に任せるよ。これな君の為なんだ」なんて言って、部下を成長させようと期待している上司もいます。
しかし、任された方の部下は果たして、この仕事をしたところで本当に成長するのでしょうか。
実は、過去にも同じような仕事をしたことがあり、ただその反復をしていることだってあります。
ただ、仕事量が増えただけで迷惑なだけかもしれません。
良く考えてください、相手の為と考えているのは誰ですか。
自分です。
自分が良いと思ったことを相手に押し付けているだけなのです。
この押し付けが相手のとって本当に為になるのであれば良いのですが、大抵はただのおせっかいになっています。
自分の視点ではなく、相手の視点
セブンイレブンの創業者である鈴木敏文さんは、いつも社員にこう言っています。
「顧客の為にではない」、「顧客の立場で考えろ」。
ここから分かるように、どんなことでも相手の立場になって考えないと決して相手の気持ちを動かくすことはできません。
顧客の為に考えた商品は、結局自分が良いと考えただけの独りよがりに商品になることが多いと言えます。
例えば、車の新商品を考えた場合、技術者たちは新機能をいっぱい搭載した車を開発したとします。
しかし、お客の反応としては、「こんなにいっぱい機能があっても、使いきれない。」、「車の形がなんだか無機質で愛着がわかない」なんてことになりかねません。
これは、技術者たちは普段から、車のありとあらゆる機能を知っていることが前提で、新機能をみんなは使ってくれると考えてしまいます。
実際は車のグレードや前回買った車の型式などの影響で、これまでの機能を全て使っていることはほぼありません。
そこに新たに新機能がいっぱいついても、ついていくことが難しくなります。
結局、技術者たちの独りよがりになっています。
その代わりにお客の立場に立ち、今注目されている機能はなにか、価格はどの程度であれば喜ばれるのか、どのようなデザインが受け入れやすいのかなど、実際に自分がお客になって車を買うことを考えればきっと満足のいく車になるでしょう。
大事なのは相手の立場になって考えること。
まずは「自分はこんなことを言われたら嬉しい!」、「自分はこんなことを言われたら悲しい。」など、自分がされた時のことを考えることから始めましょう。
相手の声を聴く
それでも、相手のことが良くわからない時は、会話をしましょう。
決して自分の言いたいことだけを一方的に言うのではなく、相手の本当の気持ちを教えてもらえるような会話をしてください。
そうすれば、相手の思っていることが理解でき、それこそ相手の立場になって考えることができるでしょう。
こんなエビソードがあります。
ある日、中年男性が電車の中で座っていました。
その後、電車が別のホームについた時、子連れの男性が電車の乗ってきました。
子連れの男性は、中年男性の横に座りました。
電車が出発し、しばらくするとその子供が電車内を大きな声でしゃべりながら、走りまわっています。
中年男性は最初は我慢していましたが、だんだん我慢ができなくなり、周りの迷惑のなっていると思い、子連れの男性の為だと思い、声を掛けました。
「お子さんが声を出しながら、走り回っているので周りが迷惑しているように見えますよ。」
そして、声をかけられた子連れの男性はこう答えました。
「あっ、すいません。気づきませんでした。つい先ほど、妻が病院で亡くなりこれからどうしたら良いかわからず、悩んでしまっていました。」「子供も、急に母親が目の前で亡くなったのでどうして良いかわからないのかもしれません。」
それを聞いた、中年男性は自分が言ったことの過ちに気づき、すぐにこう答えました。
「自分に何かできることはありませんか!」
まさに、これが相手の立場を理解したときの行動です。
注意することで相手の為になると思ったことが、全く正反対の考えになることだってあります。
大事なのは相手の立場になって考えることです。
その為には相手の話を否定しないで、しっかりと聞きましょう。