管理職になると、組織全体を管理し、成果を上げることが求められます。
その中でも特に重要なのが「部下のやる気」です。
今回は、心理学を用いた部下のやる気を高める方法についてお話しします。
部下のやる気を高めるために、さまざまな方法を試していることでしょう。
例えば、以下のような方法があります。
- 部下をほめる
- 明確な目標を伝える
- 収入アップを行う
- 昇進の推薦を行う
- 働きやすい環境を整える
これらの方法でも、一定の効果はあります。
しかし、この効果は一時的なもので、慣れてしまうと当たり前になり、やる気が低下してしまいます。
どおすれば、部下のやる気を維持できるのでしょうか。
あなたは悩んでいるはずです。
そこで、今回ご紹介する方法が「注目する」です。
この方法を実践すると、部下のやる気が高まり、さらにその効果が持続します。
結果として、組織全体の生産性も向上し、成果も上がることでしょう。
なぜ、「注目する」ことが良いのか、その理由を心理学の観点から説明していきます。
目次
部下のやる気を高める方法とは
部下のやる気を高めるためには、心理学的なアプローチが効果的です。
まずは、基本的なやる気のメカニズムについて理解することが重要です。
やる気は、人間が何かを成し遂げたいという内的な欲求から生じます。
この欲求を引き出すためには、以下の要素が必要です。
- 自己効力感の向上
- 内発的動機づけ
- 適切な目標設定
この3つの要素について、詳細を説明していきます。
1. 自己効力感の向上
自己効力感とは、「自分はこの仕事をやり遂げることができる」という自信のことです。
部下が自己効力感を持つことで、困難な課題に対しても積極的に取り組むようになります。
管理職としては、部下に適切なフィードバックを与え、成功体験を積ませることが重要です。
2. 内発的動機づけ
内発的動機づけとは、外的な報酬や罰ではなく、仕事そのものが楽しい、興味深いと感じることで生じるやる気です。
部下の興味や関心を把握し、その上で仕事を割り振ることがポイントです。
3. 適切な目標設定
明確で達成可能な目標を設定することで、部下は自分の進捗を実感しやすくなり、やる気が持続します。
目標は短期的なものと長期的なもののバランスを考慮し、定期的に見直すことが大切です。
部下のやる気を高めるには注目が大事
これまで、紹介したやる気を高める3つの要素を効率的に満足させるのが、「注目する」ことなんです。
部下のやる気を高めるために「注目する」ことが効果的な理由は、心理学の研究からも明らかです。
注目されることで、部下は自分が重要な存在であると感じ、自信を持つことができます。
これは、有名なホーソン実験の副産物として明らかになったのです。
この実験は、ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われました。
当初実験は、生産性を高めるために作業環境の改善や収入アップ、休憩時間の改善を行いました。
すると、予想通りに生産性が上がったのです。
しかし、その後、作業環境を元に戻しても、生産性が高まったままであることに気づきました。
この結果より、「生産性が上がった原因は、作業環境、収入、休憩時間などの物理的な改善ではない」と、実験者達は思い始めました。
そこで、この実験に途中参加した、ハーバード大学の心理学者エルトン・メイヨーがあることに気づいたのです。
そこで、メイヨーは従業員たちへインタビューを行い、以下の結論を導き出したのです。
結論
- 仕事の満足度や生産性を左右するのは、物理的な作業条件よりも、作業者間の協力や価値の実感でした。
- 実験が行われることで、従業員たちが「自分たちは上司や研究者から注目されている」と意識し、それによってモチベーションが上がり、仕事の生産性が向上した。
つまり、「自分の仕事がしっかりと評価され、注目されている」と、働く人が思えることが大事なのです。
この「注目する」をどのように実践していけば良いのか、その具体的な方法について見ていきましょう。
注目されるとうれしい
周りから注目されることで、自分が組織にとって重要な存在であると感じます。
そこで、上司は部下が周りから注目されるように、率先的に行動することが良いでしょう。
例えば、部下の成果をチームメンバーに報告すれば、注目が集まります。
たとえ目立つことが好きではない人でも、自分の努力や成果が認められると嬉しいものです。
これにより、部下の自己肯定感が高まり、やる気も自然と高まります。
「自分が注目されている」実感を与える
部下が「自分が注目されている」と実感できるような行動を取りましょう。
例えば、部下が行った良い仕事に対して具体的にフィードバックをする、定期的に1対1のミーティングを行い、意見を聞くなどが効果的です。
これにより、部下は自分の存在が認められていると感じ、モチベーションが高まります。
継続的に注目する
注目は一時的なものであってはなりません。
継続的に部下に対して関心を持ち続けることが重要です。
定期的な評価やフィードバック、チーム内での発表の機会を設けるなど、持続的に注目する仕組みを作ることが求められます。
注目しすぎると負担になる
しかし、注目しすぎることが逆効果になる場合もあります。
過度な注目は、部下にとって負担となり、ストレスの原因となることがあります。
適度なバランスを保つことが重要です。
注目のプレッシャー
部下が過度に注目されると、「失敗できない」というプレッシャーを感じてしまいます。
このプレッシャーは逆にやる気を削ぐ原因となるため、適度な注目が必要です。
個々の違いを尊重する
全ての部下が同じように注目を喜ぶわけではありません。
人それぞれ性格や価値観が異なるため、個々の違いを理解し、適切なアプローチを取ることが大切です。
フィードバックの質
注目する際には、フィードバックの質も重要です。
単なる褒め言葉ではなく、具体的で建設的なフィードバックを行うことで、部下の成長を促すことができます。
まとめ
部下のやる気を高めるためには、心理学の視点からアプローチすることが効果的です。
特に「注目する」ことが重要であり、これにより部下の自己肯定感を高め、やる気を向上させることができます。
しかし、過度な注目は逆効果になる場合もあるため、適度なバランスを保つことが求められます。
管理職としては、部下一人ひとりの違いを理解し、適切なフィードバックを行いながら継続的に注目することで、組織全体の生産性を向上させることができます。
これにより、成果が上がり、チーム全体が成長していくでしょう。
部下のやる気を高めるための心理学的なアプローチをぜひ実践してみてください。
それによって、あなたのチームが一層活気に満ちたものになります。